「山小屋で年越し」とか「山小屋で正月を過ごす」とか。
本物の山バカは新年から山で過ごす人が多いと聞く。
実を言うと正月を山小屋で過ごしたことがない。
今までは実家で昼間から日本酒ひっかけてダラッダラしてるのが私の正月である。
昨年の秋ごろ「来年の正月、雲取山荘で過ごしてみない?」と、提案してきたのはMさんだ。
そんなの…そんなの…行くに決まってんじゃんか!
遂に私も本物の山バカの仲間入りか!
っつーことで。
膝の怪我以降、正月の雲取山に向けてリハビリトレーニングを積んできたわけである。
怪我はまぁ多少の痛みと違和感があるものの、登山には問題ないレベルまで回復している。
そして遂に2020年正月、1月3日~4日で雲取山1泊2日の山行へ行って来た。
2日間とも快晴で最高だったので紹介したい。
<今回のメンバー>
てれってー、Mさんの計2名。
雲取山とは
雲取山は、東京・埼玉・山梨の境界にある標高2,017m、東京都最高峰の山である。
日本百名山に数えられる他、2017年は雲取イヤーなどと取り上げられ一層人気が高まった。
また、雲取山らへんには様々や伝説や言い伝えが存在する。
その一つが鴨沢から七ツ石山、雲取山付近まで平将門一行が逃走の際通過したというもの。
七ツ石山や各地名なんかも平将門の逃走の軌跡が由来になっていたりするらしい。
雲取山鴨沢ルートには所々に将門逃走時のエピソードなどを紹介した看板が設置されており、これを辿って登るのも面白い。
他にもこの地に伝わる狼信仰などもあり、丹波山村まちおこしの一環で狼手ぬぐいなんかのグッズも売られている。
この手ぬぐいめっちゃカッコイイので興味のある方は是非ググってみてほしい。
主要な3つのルートがあり、どれもロングルートなので相当な健脚でないと日帰りは厳しい。
雲取山では日帰り登山者で、日没後の滑落事故が複数発生しており死亡者も出ている。
自分は大丈夫と思わず、日没前に下山できる計画を立てて臨もう。
鴨沢ルート(奥多摩側)
3つのルートの内、アクセスが良く最も人気のコース。
山頂までは通常の人で5時間強かかるロングルート。
概ね緩い登りで危険個所もなく初心者におすすめ。
ブナ坂先の尾根道は防火帯になっており雲取山の象徴になっている。
ここは雰囲気も景色も最高なのだ。
日帰りが困難なルートのため、雲取山荘で小屋泊かテント泊になると思うが我々は山荘まで休憩込みで7時間かかっている。
三条の湯ルート(奥多摩側)
このルートは後山林道が通行できれば最も最短で登れるコース。
しかし2020年1月現在、車両は片倉橋のゲートまでしか通行できないので林道終点まで1時間半歩くことになる。
林道終点からは30分のところに三条の湯があり、宿泊も可能だし日帰り入浴も可能だ。
私の山友の一人から三条の湯に行った話を聞いたが「すっっっごく良かったよぉ~」と言っていた。
三峰ルート(埼玉側)
パワースポットとしても知られる三峰神社スタートとなる。
3つのルートの内、一番標高差が少ないがアップダウンの繰り返しがあり決して楽なルートではない。
また、11月~4月は凍結箇所があり滑落の危険があるため推奨されていない。
冬季は十分な冬山装備が必須となる。
ルート概要・トイレ情報
今回我々は鴨沢ルートをチョイス。
鴨沢から小袖林道を上がった先、小袖乗越の村営登山者駐車場を利用。
駐車場から少し林道を歩いて登山道に入り、七ツ石小屋、七ツ石山山頂を経て雲取山荘へ。
雲取山頂は2日目に回し、巻き道を利用して雲取山荘へ。
翌日は雲取山頂を通過しピストン(七ツ石山は上段の巻き道を利用)で下山。

小袖乗越の村営登山者駐車場にトイレがあると思ったんだけど冬季閉鎖でマジ詰んだ…。私は結局七ツ石小屋まで我慢するハメに。小袖林道に入る前にどこかトイレに寄って行こう。
ルート情報 | |
行動時間 | 1日目:7時間00分 2日目:5時間20分 |
内、休憩 | 1日目:1時間00分 2日目:1時間20分 |
歩数 | 1日目:24,200歩くらい 2日目:23,400歩くらい |
歩行距離 | 21.45km |
トイレの有無 | 有(七ツ石小屋) ※奥多摩小屋トイレは閉鎖 |
温泉の有無 | 徒歩圏内はなし 我々は「丹波山温泉 のめこい湯」」さんの日帰り温泉へ |
体力度 | |
難易度 | |
また行きたい度 |
山行記録
正月は雲取山荘に行ってみよう。
まぁでも大晦日~元日は絶対混むじゃんか。
大晦日なんかはウェ~イみたいな雰囲気なのかな…嫌じゃね?
つーことで、ピークをずらして1月3日~4日に行って来た。
1日目朝、小袖乗越の村営登山者駐車場に到着。(6:55)
正直思った以上に車停まってて、ビックリ。
あと30分到着が遅かったら満車だったかも?
以前来たことのある私。
この駐車場にトイレがあったはずだと。
ここで済ませてから登山開始するつもりだったのだが。
なんと!!冬季閉鎖中!!(12月1日~3月中旬)
なんてこった…既にもう尿意をもよおしているというのに…。
車で下まで戻ってる時間ないし、七ツ石小屋まで我慢するハメに…最悪だ!
トイレは諦めて出発だちくしょう!(7:08)
林道をしばらく進む。
こちらが有名な雲取山鴨沢ルート登山口。
ここから登山道に入る。
歩きやすく整備されたユルめの道が続く。
これでこのルート標高差1,467mあるからな!
どうりでロングなわけだよ!
太陽が昇ってきた。
快晴にもほどがある!素晴らしい!
「GPSによるとこの辺に水場があるはずなんだよね」
「ないね…枯れちゃった?崩壊した?」
「おかしいなぁ」
結局水場はなかったので諦めたんだが。
だいぶ過ぎたっぽいところで水場を発見。
どうやら私のGPSの位置表示がズレていたようだ。
せっかくなので、飲んでみた。
「うん、水だわ」
「普通だな」
茶煮場。(8:35)
こちらが丹波山村によって設置されている「平将門迷走ルート」看板。
内容は実に興味深くて面白い。
もし鴨沢ルートに行ったら是非読んでみてほしい。
出発して2時間。(9:00)
まだこんなユルい道が続いている。
まったく標高稼げている気がしない。
と思ったらこの辺から急に登山って感じになってくる。
ハァハァしながら登る。
たぶん七ツ石小屋まであと30分くらいだ。
早くトイレに行きたい…。
限界!実は限界!
巻き道分岐点。
下段の巻き道は台風19号のアレか通行止めになっている。
注意書きもあるが、この先は分岐だらけで仲間とはぐれやすいので注意。
小屋到着。(10:00)
トイレはここを抜けた休憩広場(テント場)先にある。
七ツ石小屋は鴨沢ルート登山者にとって最高の休憩場所だ。
ほとんどの人はここに寄って休憩する。
我々もここでラーメンを作って大休憩。
50分程休憩したら出発。(10:50)
それにしても鴨沢ルートで休憩50分は長すぎだろう。
すぐまったりしちゃうところが悪い癖である。
あとは尾根道をゆったり歩く。
デカい岩は七ツ石のうちの一つなのだろうか。
ブナ坂を越えたら鴨沢ルート最大のお楽しみである防火帯をしばらく歩く。
ここは最高に気持ちがいい。
ヘリポートを通過したら奥多摩小屋跡地。(12:20)
閉鎖前はここにトイレがあったんだが、取り壊されているようだ。
このテント場のロケーションは最高だったんだけど、残念としか言いようがない。
ここでも30分くらい休憩。
奥多摩小屋から小雲取山を経て。
雲取山の巻き道分岐。(13:30)
もうな、ぶっちゃけ疲れた。
「巻いてこ!雲取山頂は明日でいいよもう…」
つーことで、巻き道へ入る。
ここは日が当たらないので雪が深い。
巻いても結構歩く…。
巻き道に入ってから40分。
ようやく雲取山荘が見えた!(14:10)
受付を済ませて部屋のコタツでグダグダしていると、小屋のご主人が廊下で何か言ってる。
「雲取小屋こだわりの甘酒の用意ができました~!虜になる美味しさですよ!是非1階にお集まりくださ~い!」
待ってましたと言わんばかりに部屋を飛び出し、1階へ。
宿泊者たちがわらわら集まっていたので甘酒の写真撮れなかった…。
ストーブを囲うように置かれたベンチにみんなで座って、熱々の甘酒をいただく。
知らない人同士の会話も弾んでワイワイする。
甘酒、めっちゃ美味しかった。
何杯でも飲んでOKとのことだ。
夕食は普通にハンバーグ。
ご飯はおかわり自由だ。
Mさん3杯も食べてたわ。
夕食後は消灯前に星景撮影。
このために実は今回三脚を担いできたのだ。
担いだのはMさんだが。
2日目朝。
日の出を雲取山頂で見るつもりだったんだが、面倒になりやめた。
ゆっくり支度して、朝焼けも小屋から見て。
都内も一望できる。
「スカイツリーが見える」って周りの人言ってたけどどれだ?
あの爪楊枝の先っぽみたいなやつか?
雲取山頂。(7:40)
昨日より更に天気が良い。
で、帰りも奥多摩小屋でコーヒーを入れて飲み。
七ツ石小屋でラーメンを食べ。
お正月を山小屋で過ごす。
初めての経験だったが、最高だった。
もう来年の正月はどこへ行こうかと考えている。
今回使ったもの
チェーンスパイク
冬季の登山には必須アイテム。
今回の雲取では大活躍。
むしろ12本アイゼン装備の人は大変そうだった。
ロングゲイター
雪の登山には必須アイテム。
雪が靴の中に入るのを防いでくれる。
これはMさん装着ノースフェイスの高級ゲイター。
THERMOS 山専用ボトル
登山者の人気アイテム、通称「山専ボトル」
寒い冬でも夕方まで結構アツアツ!
冬は寒くてゆっくり山ごはんできないので、これがあればサクッとカップラーメンとかイケちゃうので絶対持ってた方がいい。
あると便利折り畳み座布団
特に冬はベンチがあっても直接座ると冷たいし、濡れることもあるので必須。
PENTAX KP
てれってーの本気カメラ。
今回は三脚も持って行った。
PENTAX GPSユニット
アストロレーサー機能を備えたGPSユニット。