2020年のお盆休み前半。
常念山脈の蝶ヶ岳から燕岳まで縦走しようと。
何ヶ月も前から虎視眈々と計画を立てていた。
計画は3泊4日。
三股から入り、1日目は蝶ヶ岳で一泊。
2日目は常念岳で一泊。
3日目は我々の憧れの大天井岳で一泊。
最終日は大天井岳から燕岳を経由して中房温泉に下山という計画である。
この縦走ルート、普通2泊3日で踏破する人が多いのだが私の低体力を考慮して3泊することにしたのだ。
ところが蝶ヶ岳での爆風の洗礼を受け、予定変更を余儀なくされた。
更にコロナのアレで小屋での食事を避けるため全食自炊にしたので、重量が完全にキャパオーバーだった。
テント泊縦走の厳しさを思い知らされることとなった今回の縦走劇を記録に残したいと思う。
<今回のメンバー>
てれってー、Mさんの計2名。
常念岳とは
常念岳(じょうねんだけ)は、北アルプス南部の常念山脈にある標高2,857mの山で、常念山脈の主峰である。
ピラミッド型の端正な山容は、安曇野市のシンボルにもなっている。
常念岳の名前の由来を調べるといくつか説があるようだ。
①山姥説
その昔、常念坊という山姥が毎年暮れになると酒を買いに来たという説。
(なんだそりゃ!)
②坂上 田村麻呂の重臣説
平安時代、坂上 田村麻呂という公卿がこの地に遠征した際、常念坊という重臣がこの山へ逃げ込んだとされる説。
(いやいや、常念坊、山姥じゃなかったのかよ…)
③修験者説
田尻村(現堀金村)の正福院の常念坊という修験者が登山するようになったからだという説。
(もはや常念坊の正体が不明…ただ修験者説が一番しっくりくるかな)
そして、春に前常念岳の東北東の雪の斜面に現れる雪型が、とっくりを手にした「常念坊」の姿であるとされており安曇野に田植えの時期を知らせるシンボルともなっているようである。
常念坊とは、一体何者なのであろうか。
蝶ヶ岳については昨年も訪れており記事を残しているのでそちらで紹介している。
梅雨が明けねぇぇぇ!! 6月に梅雨入りしてからずっっっと雨!! 例年なら梅雨の晴れ間というのもあるが、今年はそれもないのだ。 「山山山~~~山行きたい!!」 と全国の山家が叫び、のたうち回っていたであろう2019年の梅雨。 […]
ルート概要・トイレ情報
元々、三股から入り中房温泉へ下山予定だったので。
穂高駅近くの穂高駐車場(無料)を利用した。
駐車場から三股までは予め予約していたタクシーで向かう。
で、予定変更も考慮していたので帰りのタクシーは適宜電話予約するっつーことで。
結果的には初日の蝶ヶ岳があまりの爆風でテント泊装備の人の多くが撤退する中、根性でテントを設営。
爆風にさらされっぱなしの一夜を過ごし(爆睡だったが)二日目も強風で移動を諦め蝶ヶ岳に二泊することに。
なので二日目は丸一日テントで食っちゃ寝していた。
3日目、ようやく天候が安定したので常念岳へ。
このとき行ければ大天井まで行こうって言ってたんだけど、無理だった。常念でギブ。
ということで最終日は常念岳から一ノ沢へ下山。
そこでタクシーを呼んで、穂高駐車場へ帰還。
結局今回のメインだった大天井岳テント泊はおあずけとなった。

トイレは各登山口と小屋にあるから特に心配ないよ。私は初日お花摘みしたけどね。
ルート情報 | |
行動時間 | 1日目:6時間30分 3日目:7時間 4日目:3時間50分 |
内、休憩 | — |
歩行距離 | 15.04km |
トイレの有無 | 有(各登山口と小屋) |
温泉の有無 | 一ノ沢付近はなし 穂高温泉郷のどこかに寄ったんだが忘れちまった… |
体力度 | |
難易度 | |
また行きたい度 |
山行記録
今回は三股から登り常念山脈を縦走し中房温泉に下山する予定だったので、車をどこに停めるのか問題があった。
①三股登山口の駐車場に車を停めて中房温泉からタクシーで戻る方法
②穂高駅周辺に車を停めて行きも帰りもタクシーを利用する方法
三股に停める方がタクシー代は安く済むんだが。
タクシー会社へ問い合わせてみたところ三股に4日間も駐車しておくのはおすすめできないとのことで、穂高駐車場を勧められたので穂高駐車場を利用することにした。
穂高駐車場は無料で利用でき24時間出入りが可能。
中房線バスの停留所にもなっていたため、登山目的の利用者が多いようだ。
(2020年から穂高駐車場バス停は廃止になったので穂高駅のバス停を利用すると良い)
前日夜東京を出発し夜0時過ぎてから安曇野ICを出ることで、高速代を深夜割引で利用。
駐車場にはトイレがないので、途中のコンビニで買い物やトイレを済ますと良い。
穂高駐車場に着いたら、朝まで仮眠。
朝5時に予約していたタクシーに乗り込み三股登山口へ。
(予約時に深夜料金が発生しないようにしてもらった)
1日目
穂高駐車場から1時間足らずで三股登山口に到着。
想定より車がいっぱいで。
三股に停めなくて良かったわ~ホント。
登山口にトイレがある。
蝶ヶ岳山頂までトイレはないので、ここで済ませよう。
登山者カード提出所。
登山計画はWEBで提出済だったが、何か書かされているMさん。
確か代表者とメンバーの名前だけ書くように言われたとか言ってたかな。
ではアタック開始。(06:00)
今回の私のザックの重量は17Kgで、過去最高重量である。
この時点であまりの重さに不安しかない。
一歩一歩が重い。
登り始めてから40分ほどで、このルートで有名なゴジラと対面。
ホントにゴジラだわコレ。
まめうち平。(08:30)
標準コースタイムだとここまでが2時間。
テン泊装備の私の速度を考えると想定通り。
あー…クソ重てぇ…
不安が現実になってきたのがこの頃。
とにかくザックが重すぎ!完全にキャパオーバー!
まだ蝶ヶ岳まで半分なのに絶望的に足が上がらんのだ。
ちくしょう登ってやる。
絶対登ってやる。
後日M氏「てれってーめっちゃ不機嫌だったよねー笑」
不機嫌なつもりはなかったが、そう見えたらしい。
気をつけよう。
どんどんスピードは落ちてゆく。
しんどいというより、足が折れそう。笑
三股ルートってこんなに階段地獄だったんだ。
重てぇ…だが負けたくねぇ…
頭の中はずっとこんな。
標高が上がりだんだんガスってきた。
この辺でテント泊装備で強そうなおじさま2人組と出会う。
「稜線上は爆風でヤバいらしいんですよ」
あまりの爆風でテントを張れず諦めて撤退している人が多いらしい。
「どうすっぺ…」
「とりあえず稜線までは行ってみよう、時間の余裕はあるし」
ここまで来て撤退は悔しすぎるが、状況によっては想定しておいたほうが良さそうだ。
え、私この時点でヘロヘロなのに下山する体力…。
とりあえず樹林帯を抜けた。
ヤバいヤバいヤバいヤバい!!
飛ばされる!!
というレベルでヤバい。爆風。
写真で伝わらないのが残念。
一応着いたよ蝶ヶ岳ヒュッテ。(12:40)
まぁまぁ時間かかっちまったが、よく頑張った私。
しかしもう体力はゼロだ。
さっきのおじさん方は「僕らは撤退します!では!」と下山して行った。
下のキャンプ場で今夜はテントを張るらしい。
我々は、テント設営をはじめた。
下山する体力もないし、思ってた以上にテント張ってあるし。
イケるんじゃね?って頑張った。
しかし爆風の中でのテント設営は困難を極めた。
二人がかりで40分もかかった。
他にもテント設営頑張ってる人がチラホラいたが、中には諦めた人たちも。
テントは爆風でたわみ、信じ難い形状になったりしていて一晩もつか不安だ。
フライが飛ばされるとかポールが折れるとか…。
ロープワークの得意なMさんの設営を信じるしかない。
この日は蝶ヶ岳山頂すら行く気にならず。
早々にテントに立てこもって、翌日以降の計画を見直したり。
ご飯作ってビール飲んだりして、さっさと寝る。
いやしかし、ここまで苦労して担ぎ上げた食材で作った初日メシ。
高級ウインナーと味噌豚骨の鍋うめぇ。
2日目
夜間、終始爆風が続き何度か目を覚ましたが爆睡。
翌朝、風が弱まる様子はない。
この風の中稜線を歩くのは危険だ。
ということで、2日目は蝶ヶ岳に留まることを決断。
この時、3日目は常念岳へ行き、4日目は一ノ沢へ下山と予定を変更。
(行けたら大天井までとは話していた)
お昼を過ぎて、ようやく外を歩けそうな感じになってきたので出てみると。
昨日よりたくさんテント張ってる。
山頂も行ったし、グダグダとテントで過ごしていると。
荷揚げヘリの音が!
外に出て見ようと開けようとするも、チャックにフライが噛んで開かない。
慌てるMさん。
そしてやっと天候が回復し始めた。
明日には常念岳へ出発できそうだ。
3日目
3日目早朝。(05:30)
厚い雲に覆われてはいるものの、午後には晴れそうな予報。
テントを撤収し、出発する。(06:00)
横尾分岐。
昨年は横尾から登って来て蝶ヶ岳にテント泊したので、懐かしい。
常念山脈の稜線から穂高連峰・槍ヶ岳を見たくて来たのだが。
微妙な天気。
でもこんな天気だからこそ出会えるこんな景色。
何か降臨しそうだなおい。
常念岳に近付くとお花がたくさん見られる。
これも楽しみの一つだった!
2,592mピーク。(07:40)
常念岳のお出まし。
少し青空が見えてきた。
さて、この先が地獄だった。
例のザックの重みと戦いながら、ゴツゴツの常念を登る。
でも景色は最高だ。
もう、天に召されるんじゃないか。
この先が最後の急登なんだが、もう写真を撮る余裕もなく必死。
そして常念岳登頂。(11:00)
登りでエライ時間かかっちまって。
めちゃしんどくて、常念登頂イェー写真を一切撮っていない。笑
でも見てこれ。
この景色が見たくて頑張ってここまで来た。
この下り、本当辛かった。
何がって、ザックが重すぎて。
下っても下っても着かなくて。
足、ガタガタ。
精神的にも体力的にも限界を超えた。
「ふーあと少し。頑張れ頑張れ。」
と。自分で自分を励ましたら、なんかもう涙ブワーッ!
自分でビックリしたわ。
Mさんもビックリだわ。
恥ずいので、Mさんに先に行ってもらって。
とりあえず邪魔にならないところで流すだけ流した。
ジッと黙って、静かにダラダラと垂れ流す。
体力のなさへの悔しさとか。
もう足が限界でどうしようとか。
そんなアレ。
落ち着いて、水飲んで。
ヨレヨレになって到着…常念小屋。(13:00)
常念小屋のテント場は2箇所に分かれている。
我々は小屋から近い方へ。
トイレが目の前だけど、気にしない。
4日目
一ノ沢ルートはずっと沢沿い。
熊の目撃情報が多いのもこのルートだ。
途中でPENTAXのカメラを首に下げたおじさんと出会い。
その夫婦とお話したり、花の写真撮ったり。
感想・まとめ
今回、ザックの重さに泣いた。本当に泣いた。
3泊4日11食全てを自炊にしたため食料が嵩み17Kgになってしまった。
もう次回からはテント泊装備でも13Kgに抑えたい。
やはりあとトレーニング強化だな!
そして2つ目の失敗は、一ノ沢にタクシーを呼んでなかったこと。
常念小屋付近でスマホの電波があったのに、そこでは電話せず下山中にするつもりだったのだ。
ところが一向にに電波が繋がらず、結局一ノ沢に着いても圏外。
しくったなー。
徒歩で電波のあるところまで下るしかないかと思っていたところへ、先客のタクシーが来たのでその運転手さんに無線で一台呼んでもらって助かった。
一ノ沢は電波がないので、注意が必要だ。
【後日の会話】
Mさん「いやぁー、今回の旅のハイライトはてれってーの涙だよな~!びっくりして言われるまま先に行っちゃったけど、置いてっちゃったの後悔してんだよなー!次回は横で見守るからな!」
てれ「もうその話はやめて…」
今回の装備
スポルティバ トランゴ アルプ エボ GTX(WOMAN)
「トランゴ」シリーズ最もタフなモデル。
3000m級のハードな縦走に最適なめちゃカッコいい一足。
オスプレー オーラAG 50
テント泊用の50Lザック。
身長148cmの私が唯一違和感なく背負えたのがコレ。
実際の色は記事中の写真やYoutubeで分かる通りもっと明るいブルー。
PENTAX KP
てれってーの本気カメラ。
防塵防滴なので冬のアウトドアでも大丈夫!
アライテント エアライズ2
アライテントのエアライズシリーズ2人用。
実際2人で使用するとギリギリイケるサイズ。